MBS

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住宅ローン債権を集めて証券化

MBSは、住宅ローン債権を集めて証券化した金融商品です。
この言葉は「抵当や担保・裏付けのある・安心」とういう3つの単語の英語表記のそれぞれの頭文字からつけれれた略語で、住宅という担保があるから安全な債券といった意味あいです。
住宅取得資金を融資した債権を、金融機関等の元々の債権者(オリジネーター)が、債権を多数集めて証券に換える発行体に売却し、その後証券は投資家に売却されます。

投資家に発行されるこの証券は、元本や利子支払の保証が付けられることで信用力・格付が高いものとされます。
アメリカでは多くのMBSは、大半が政府系のジニーメイまたはファニーメイなどが発行主体となっており、アメリカ国債に劣らない信用力を持っています。

ただ、国債に比べればリスクが幾分高く、その分比較的高い利子を受け取れます。
この証券も少しずつの仕組みの違いにより、様々な種類に分類されています。
代表例にパススルー証券がありますが、政府系または民間発行の違い、金利が固定か変動化などに分けられ、CMOやRMBS等もあります。

信用力の高いMBSの詳しい仕組み

MBSの仕組みを少し詳しく見ると、まず、個人に対し住宅を担保に資金を貸した銀行は、住宅ローン債権を保有します。
銀行はこの住宅ローン債権をMBSの発行体となる金融機関に譲渡します。
譲渡を受けたこの金融機関は、買い取った債権を集めて小口証券化しMBSを発行し、発行機関が元利金を保証するとして投資家・投資信託へ売却するのです。

投資家たちへ支払われる元本と利子は、発行機関が保証しますが、当然その原資は、住宅ローンの借り手が貸し手の銀行に支払う元金や利子です。
仮に住宅ローンを借りた人が返済を延滞しても、発行体の大半が政府系の信用ある機関が元利金の保証をしていますので、MBSはリスクの低い投資対象とされています。
MBSのリスクとして期限前償還リスクがあり、住宅ローンを借りている人たちが繰上返済を行えばMBSの投資家も期限前償還を受けざるを得ません。

住宅ローンの繰上返済の決定権は借り手側にあります。
一般的に、金利の低下局面においては、借り換えが増加するため、償還リスクが高まります。
投資家にとってリスクは絶対最小限度におさえたい性質のものですので、その分相対的に魅力的な利回りが期待できます。

2007年のリーマンショックとMBSの関係

アメリカの個人向け住宅ローンは、信用度の高い順から低い順に「プライムローン」、「オルトA」、「サブプライムローン」の3区分に分けられます。
サブプライムローンはリスクが高いので、金利が高く設定されます。
2007年のサブプライムショックでは、住宅価額の未来永劫の上昇を信じて、サブプライムローンが増大していた時に住宅バブルがはじけて、サブプライムローンが返済不能となりました。

このサブプラムローンを組み入れて、デリバティブを駆使して証券化された「高リスク・高リターンの証券」がMBSの一種RMBSなどに紛れ込み世界中の投資家の手に販売されていました。
世界中どの金融機関や投資家も誰がそのリスクを抱えているか、まるでトランプの「ババ抜き」のように相手を信用できずに金融が収縮したことが理由です。
人間の欲望は、世界中でバブルを繰り返し生み、弾けることを繰り返すのです。